初めてでも安心!犬のしつけ完全ガイド|愛犬と絆を深めるトレーニング入門

新しい家族として愛犬を迎えられた皆さんは、これから始まる愛犬との生活に、期待で胸を膨らませていることでしょう。その素晴らしい毎日を、より安全で、より豊かなものにするために「しつけ」は欠かせません。しかし、しつけは一方的にルールを押し付けるためのものではありません。「しつけは、ただルールを教えるだけでなく、愛犬との信頼関係を深め、絆を強める大切な時間」です。これからご紹介する方法は、愛犬の安全を守り、人間社会で幸せに暮らすための知恵を、愛犬と一緒に楽しく学んでいくためのものです。このガイドを通じて、愛犬との素晴らしい対話を始め、共に成長する喜びを感じていただければ幸いです。
1. 成功の鍵!犬のしつけ「3つの大原則」

具体的なコマンドを教える前に、まずは現代の犬のしつけにおける最も大切な「心構え」を理解しましょう。この3つの原則を守ることが、トレーニング成功への一番の近道です。
1.1.たくさん褒めて育てる
犬は、「これをしたら良いことがあった」と学習することで行動を覚えていきます。望ましい行動ができた瞬間に、すかさず褒めてあげましょう。そうすることで、愛犬は「〇〇をしたら褒められた」とポジティブな経験を通して学び、自ら進んで正しい行動をとるようになります。タイミングが何よりも重要です。
1.2.叱らない、叩かない
大声で叱ったり、叩いたりといった体罰は絶対にやめましょう。これらの行為は犬に強い恐怖心やストレスを与え、飼い主さんとの信頼関係を壊してしまいます。かえって吠え癖や噛み癖などの問題行動を引き起こす原因にもなりかねません。もし愛犬が望ましくない行動をした場合は、反応せずに無視をするか、冷静にその場を10秒ほど離れるのが効果的です。「いけないことをすると、楽しい時間が終わってしまう」と愛犬自身に学んでもらいましょう。
1.3.家族みんなでルールを統一する
しつけにおいて一貫性は非常に重要です。家族の中で指示する言葉(コマンド)が違ったり(例:「ダメ」と「いけない」)、ある人は許すのに別の人は叱ったりすると、犬は何が正しくて何が悪いのか分からず混乱してしまいます。コマンドの言葉やルール、そして問題行動への対応は、必ず家族全員で話し合って統一しましょう。
このポジティブな心構えができたなら、もうトレーニングを始める準備は万端です。
2. まずはここから!信頼関係を築く最初の2ステップ

すべてのしつけの土台となるのが、愛犬の注意を飼い主さんに向けさせることです。まずはこの2つの基本から始めましょう。
2.1. 名前の学習:呼ばれたら「良いこと」が起きる!
名前を教える目的は、愛犬の注意を引き、「名前を呼ばれる=良いことがある」とポジティブな印象を持ってもらうことです。最も効果的な方法は、毎日の生活の中で名前と良いことを結びつけることです。「食事、おやつ、遊びに誘う前に名前を呼ぶように意識しましょう」。
- 愛犬がこちらに向かってくるタイミングで、優しく名前を呼びます。
- 近くに来たら、たくさん褒めておやつをあげましょう。
- 慣れてきたら、犬の背後から名前を呼び、振り向いたらすぐに褒めておやつをあげます。
2.2. アイコンタクト:「見て」がすべての基本
アイコンタクトは、飼い主さんへの集中と信頼の証であり、あらゆるコミュニケーションの基礎となります。
- おやつを握った手を、愛犬の鼻先に近づけて匂いを嗅がせます。
- その手をゆっくりと飼い主さんの目の高さ(眉間のあたり)まで持ち上げます。
- 愛犬がおやつを目で追い、顔を上げて飼い主さんと目が合った瞬間に「上手!」などと褒め、すぐにおやつをあげます。
これらの基本的なコミュニケーションが取れるようになれば、日常生活の中でのしつけがぐっとスムーズになります。
3. 毎日の暮らしの基本しつけ

愛犬と快適に暮らすために不可欠な、3つの生活習慣トレーニングを紹介します。
3.1. トイレトレーニング
トイレのしつけは、愛犬を迎えたその日から始めましょう。失敗しても決して叱らず、成功をたくさん褒めることが成功の秘訣です。
@環境を整える
サークルの中など、決まった場所にトイレを設置します。使い始めは、トイレシーツに少しだけ愛犬のおしっこの匂いをつけておくと、そこがトイレだと認識しやすくなります。
Aタイミングを見極める
子犬がトイレに行きたくなるのは主に以下のタイミングです。
- 寝起き
- 食事や水を飲んだ直後
- 遊んだり運動したりした後
Bサインに気づく
床の匂いをクンクン嗅ぎまわったり、その場でクルクル回り始めたりしたら、それがトイレのサインです。
C成功したら、すぐに褒める
サインに気づいたら、すかさずトイレへ誘導しましょう。そして、正しい場所で排泄できたら、終わった瞬間にたくさん褒めておやつをあげます。「ここでトイレをすると良いことがある」と学習させることが最も重要です。
3.2. ハウストレーニング
ハウストレーニングは、クレートやケージを「安心できる自分の部屋(巣穴)」だと教えるトレーニングです。災害時の避難や、動物病院、旅行の際にも役立ちます。罰として使うのは絶対にやめましょう。
- おやつやおもちゃを使い、愛犬をハウスの中に誘導します。「ハウス」と声をかけましょう。
- 愛犬が中に入ったら、すぐに褒めておやつをあげます。
- 最初は扉を開けたままで、ハウスの中にいる間におやつをあげて、「ハウスは良いことがある場所」と教えます。
- 慣れてきたらそっと扉を閉め、数秒たったら開けて褒めます。少しずつ扉を閉めている時間を延ばしていきましょう。
3.3. 食事トレーニング:落ち着いて待つことを教えよう
食事の前に落ち着かせることで、早食いを防ぎ、飼い主さんがリーダーであることを示します。
- フードの入った食器を持ち、まずは「お座り」をさせます。
- 愛犬の前に食器を置き、「待て」と指示を出します。最初は数秒から始めましょう。
- きちんと待てたら、「よし!」という解除の合図を出して、食べさせてあげます。
食事のしつけでやるべき事とやってはいけない事
| やるべき事 | やってはいけない事 |
|---|---|
| 「待て」と「よし!」の合図を使う | 人間の食卓から食べ物を与える |
| 食事の前に犬が落ち着いている状態にする | 食べている最中に食器を取り上げる |
詳しい食事のしつけ方は以下の記事を参考にしてください。
⇒ 初心者でも安心!愛犬との信頼を築く、食事のしつけ完全ガイド
毎日の習慣をポジティブにしつけることで、問題行動の予防につながります。
4. よくあるお悩み解決!問題行動のしつけ

多くの飼い主さんが直面する問題行動には、理由があります。その理由を理解し、正しい対処法を根気よく続けましょう。
4.1. 噛み癖(甘噛み)
子犬の甘噛みは遊びの一環ですが、放置すると本気噛みに発展する可能性があります。噛んで良いものと悪いものを明確に教えましょう。
人の手を噛む場合
- 噛まれたら、少し高めの声で「痛い!」と伝えます。
- すぐに遊びを中断し、その場から黙って立ち去ります(10秒程度)。
- これを繰り返すことで、「人を噛むと楽しい遊びが終わってしまう」と学習させます。
物や家具を噛む場合
- 低い声で「ダメ」と伝えます。
- 噛んでも良いおもちゃを与えたり、「お座り」などの簡単な指示を出したりして、そちらに興味を移させます。
- おもちゃで遊び始めたら、たくさん褒めてあげましょう。
- 運動不足やストレスが原因の場合もあるため、十分な散歩や遊びの時間を確保することも大切です。
4.2. 無駄吠え
吠えるのは犬の自然な意思表示ですが、過度な吠えはコントロールが必要です。原因ごとに対処法が異なります。
インターホンや来客に吠える場合
インターホンや来客に吠える場合の原因は、警戒心、恐怖心です。インターホンの音が鳴った瞬間に、愛犬が吠える前におやつを与えます。これを繰り返すことで、「インターホンの音=良いことがある」というポジティブな印象に書き換えます。
要求吠えの場合
愛犬が要求して吠えている間は、完全に無視をします。吠えるのをやめて静かになった瞬間に、褒めてあげたり、遊んであげたりしましょう。「吠えても何もいいことが起きない」と学習させることが重要です。
4.3. 散歩のしつけ(引っ張り癖)
散歩は犬が主導するのではなく、飼い主さんと歩調を合わせる「リーダーウォーク」が理想です。愛犬の安全を守るためにも身につけさせましょう。
- リードは常に少し緩んだ状態を保ちます。
- 愛犬が飼い主さんより前に出てリードを引っ張ったら、その場でピタッと立ち止まります。
- 愛犬がこちらを振り返り、リードが緩んだら、再び歩き始めます。
- 愛犬が飼い主さんの横を上手に歩けているときに、「いい子」と褒めておやつをあげます。
問題行動のしつけは根気が必要ですが、焦らず一歩一歩進めましょう。
5. 安全とコミュニケーションのための基本コマンド

愛犬の安全を守り、より深いコミュニケーションをとるために役立つのが、「お座り」などのコマンド(指示語)です。おやつ(ご褒美)を使って楽しく教えましょう。
5.1. お座り
お座りは、犬の興奮を落ち着かせたいときなど、さまざまな場面で役立つ基本のコマンドです。
- おやつを握った手を愛犬の鼻先に持っていきます。
- そのまま手を愛犬の頭上へゆっくり動かすと、自然にお尻が床につきます。
- お尻が床についた瞬間に「お座り」と声をかけ、おやつをあげて褒めます。これは、まず体勢と言葉を結びつけるための最初のステップです。
- この動作がスムーズにできるようになったら、次の段階に進みます。おやつで誘導しながら、犬がお尻を落とし始める直前に「お座り」と声をかけましょう。
5.2. 伏せ
伏せは、お座りよりもリラックスした体勢で、ドッグカフェなどで少し長く待たせたい時に便利です。
- まず「お座り」をさせます。
- おやつを握った手を鼻先から、前足の間の床に向かってゆっくり下ろします。
- 床にお腹をつけて伏せの体勢になった瞬間に「伏せ」と声をかけ、おやつをあげて褒めます。これは、まず体勢と言葉を結びつけるための最初のステップです。
- この動作がスムーズにできるようになったら、次の段階に進みます。おやつで誘導しながら、犬が伏せ始める直前に「伏せ」と声をかけましょう。
5.3. おいで
万が一の時に愛犬の命を守る、最も重要な安全コマンドです。「おいで」と呼んだ後は、必ず良いこと(たくさん褒める、大好きなおやつをあげる、楽しい遊びが始まるなど)が起きるように徹底してください。叱るためや、爪切りなど犬が嫌がることをするために呼ぶのは絶対にやめましょう。
- ご褒美(大好きなおやつやおもちゃ)を手に持ち、愛犬から少し離れてしゃがみます。
- 手に持ったご褒美を見せて愛犬の注意を引き、こちらを向いた瞬間に「おいで!」と明るく楽しそうな声で呼びます。
- 愛犬が近くまで来たら、たくさん褒めながらご褒美をあげます。これを何度も繰り返し、「飼い主さんの元へ行くと最高に良いことがある」と学習させます。
これらのトレーニングの一つひとつが、愛犬との信頼関係を築くための大切なステップです。
6.犬のしつけで初心者がやりがちなNG行動と正しい対処法

ここでは、犬のしつけ初心者さんがやりがちな「実はNGな行動」に焦点を当てます。具体的なNG行動とその理由、そして今日から実践できる改善策を分かりやすく解説していきます。
NG行動@:おやつ(報酬)の使い方が間違っている
犬の短期記憶は約2〜10秒と非常に短いと言われています。このため、正しい行動をしてからご褒美をもらうまでのタイミングがずれると、犬は何に対して褒められたのか理解できません。このタイミングのズレが「誤学習」につながり、「お座りをしたこと」ではなく「立ち上がろうとしたこと」にご褒美を与えてしまうなど、間違った行動を強化してしまう危険性があります。
▼正しい対処法
ルールは非常にシンプルです。 「犬が正しい行動をとった、その直後におやつを与える」 これを徹底するだけで、おやつは非常に効果的な報酬になります。例えば、「お座り」ができたら、その瞬間に「いい子!」と褒めながら与えましょう。
NG行動A:吠えた時に叱ってしまう
犬が吠えている最中に、「うるさい!」「静かにして!」と大きな声で注意する。
まず理解すべきは、人には「無駄吠え」に聞こえても、犬には「気になる音がした」「撫でてほしい」など、吠える理由が必ずあるということです。その理由を考えずにただ叱るのは逆効果です。また、犬は「吠えたら飼い主さんがかまってくれた!」と勘違いし、さらに吠えるようになります。
▼正しい対処法
視点を変えて、「静かにしている時」を褒めることがポイントです。
- 日常的に落ち着いている時に、「いい子だね」と優しく褒めてあげましょう。
- 吠え始めたら、「お座り」などのコマンドで気をそらし、吠え止んだ瞬間にすかさず褒めます。
「静かにしていると良いことがある」と学習させることが、吠えの問題を解決する近道です。
NG行動B:散歩・運動・遊びが不足している
「お座り」や「待て」などのトレーニングばかりに集中し、犬の基本的な欲求である運動や遊びの時間を十分に確保できていない。
特に多くの運動量を必要とする犬種にとって、運動不足は深刻なストレス源です。有り余ったエネルギーが、以下のような問題行動として現れることがよくあります。
- 無駄吠えが多くなる
- 家具などを破壊する(穴を掘る、噛むなど)
- 攻撃的になる
▼正しい対処法
まずは「犬の欲求を満たす土台作り」が大切です。愛犬との生活全体を見直し、質の良い散歩や遊びの時間が十分に足りているかを確認しましょう。心身ともに満たされていれば、犬は落ち着き、しつけの指示も入りやすくなります。
NG行動C:大げさに騒いだり、イタズラをかまったりする
犬がティッシュで遊んでいたり、ゴミ箱をあさったりした時に、「キャー!」「何してるの!」と大騒ぎする。
飼い主さんが大騒ぎする反応は、犬にとっては「飼い主さんが喜んでくれた!」「注目してくれた!」というご褒美に勘違いされることがあります。その結果、気を引くために同じいたずらを繰り返すようになります。
▼正しい対処法
犬が気を引くために問題行動をしている場合、「無視」する事は非常に有効な手段です。騒がず、静かに片付け、犬に関心を向けないことで、「この行動をしても意味がない」と学習させることができます。愛犬のアピールを無視するのは心が痛みますが、お互いの今後のためと割り切って心を鬼にしなければなりません。
これらのNG行動を避けるだけで、しつけは大きく前進します。
7.まとめ:焦らず、楽しみながら愛犬との絆を深めよう
愛犬のしつけは、一度や二度で完璧にできるものではありません。人間の子供を育てるのと同じように、長い目で見て、根気よく取り組むことが大切です。何よりも重要なのは、たくさん褒めて、愛犬に「学ぶことは楽しい」と感じてもらうことです。トレーニングは、飼い主さんと愛犬が共に成長していくための素晴らしい時間です。焦らず、愛犬のペースに合わせて、ゲームのように楽しみながら続けていきましょう。
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