子犬の甘噛みはいつまで?原因と今日からできる正しいしつけ方・NG対応を徹底解説

子犬に手をカプッと噛まれる。最初は微笑ましいその仕草も、次第に力が強くなり、「これはこのままでいいのだろうか?」と不安に思う飼い主さんは少なくありません。子犬期の甘噛みを「そのうち治るだろう」と軽く考えて放置してしまうと、成犬になっても続く「噛み癖」となり、思わぬ事故やトラブルにつながる可能性を秘めています。この記事では、子犬の甘噛みの根本的な原因を深く掘り下げ、今日からすぐに実践できる効果的なしつけ方法、そしてついやってしまいがちなNG対応までを網羅的に解説します。愛犬とのより良い関係を築くための、信頼できるガイドとしてお役立てください。
1. 子犬の「甘噛み」とは?成長過程の自然な行動を理解する

子犬の甘噛みをしつける上で、まず大切なのは「甘噛みとは何か」を正しく理解することです。単に問題行動として捉えるのではなく、犬の成長における自然なプロセスであることを知ることが、効果的で愛情のこもったしつけの第一歩となります。まずは、甘噛みの本質と、危険な「本気噛み」との違いを明確にします。
1.1. 甘噛みと本気噛みの違い
飼い主として、愛犬の噛む行動が遊びの範疇なのか、それとも攻撃や威嚇のサインなのかを見分けることは非常に重要です。以下の表で、両者の決定的な違いを確認しましょう。
| 比較ポイント | 甘噛み | 本気噛み |
|---|---|---|
| 噛む強さ | 力を加減しており、痛みはほとんど感じない。じゃれるような噛み方。 | 力を加減せず、痛みや怪我を伴うことがある。威嚇や攻撃の意思がある。 |
| 犬の表情と態度 | リラックスしており、楽しそうな表情。尻尾を振ったり、体をくねらせたりと、遊びに誘うような仕草が見られる。 | 歯をむき出しにして唸り声をあげる。鼻にしわを寄せ、体が硬直するなど、緊張と攻撃のサインが見られる。 |
愛犬の様子をよく観察し、これらのサインを見極めることで、適切な対応をとることができます。
1.2. 甘噛みはいつからいつまで続くのか?
子犬の甘噛みは、一般的に歯が生え始める生後3週〜3ヶ月頃に始まります。
まず、歯の生え替わりに伴う歯茎のむずがゆさが原因の甘噛みは、永久歯が生えそろう生後4ヶ月〜6ヶ月頃には大きく減少する傾向があります。
しかし、その後も甘噛みが続く場合は、遊びの要求やコミュニケーションといった「行動の癖」が原因と考えられます。この行動としての甘噛みは、適切なしつけを行えば生後6ヶ月〜1歳頃を目安に落ち着いていくことが多いです。
重要なのは、犬種や性格、しつけの状況によって期間は大きく変動し、「放置しても自然には直らない」という事実です。早い段階で適切な対応を始めることが、将来の噛み癖を防ぐ鍵となります。
甘噛みの原因を深く理解することは、なぜその行動が起きるのかを知り、効果的な対策を立てるための羅針盤となります。次に、その理由を詳しく見ていきましょう。
2. なぜ甘噛みするの?甘噛みの心理と理由

犬が甘噛みをする背景には、一つだけでなく、実に多様な理由が隠されています。子犬の成長段階における本能的な欲求から、飼い主とのコミュニケーション手段まで、複数の要因が複雑に絡み合っています。それぞれの理由を正しく理解することが、根本的な解決への近道です。
2.1. 成長に伴う本能的な理由
子犬の成長過程においては、甘噛みはごく自然な本能的行動です。
歯の生え替わり
子犬は、人間のように手を使って物を確かめることができません。そのため、口を使って物の硬さや形、質感を確かめ、周囲の世界を学習していきます。これは子犬ならではの旺盛な好奇心と探求心の表れなのです。
噛む力加減の習得
本来、子犬は母犬や兄弟犬とじゃれ合い、噛み合う中で「これ以上強く噛むと相手が痛がり、遊びが終わってしまう」という力加減、いわゆる「噛み抑制」を学びます。早くに親兄弟と離れた子犬は、その学習機会が不足しているため、飼い主を相手に噛む力加減を学ぼうとしているのです。
2.2. 感情表現とコミュニケーション
甘噛みは、飼い主との関わりの中で生まれる感情表現やコミュニケーションの手段でもあります。
遊びと興奮
飼い主さんと遊んでいる時、楽しさや嬉しさでテンションが上がり、興奮のあまりついカプッと噛んでしまうことがあります。これは遊びの延長線上で起こる自然な行動です。
要求と注目
「もっと遊んでほしい」「こっちを見て!」といった要求を伝えるために、甘噛みを使うことがあります。噛んだ時に飼い主さんが何らかの反応をすることで、「噛めばかまってもらえる」と誤って学習してしまうケースは少なくありません。
愛情表現
子犬にとって、軽く噛むことは愛情表現の一つでもあります。大好きな飼い主さんへの好意や甘えたい気持ちを、甘噛みで示している場合もあります。
ストレスと退屈
散歩や遊びの時間が足りず、エネルギーが有り余っていると、退屈しのぎやストレス発散の手段として物を噛んだり、飼い主にじゃれ噛みしたりすることがあります。特に、長時間の留守番は大きな原因となり得ます。
眠気と疲れ
実は非常に多いのがこの理由です。人間の子どもが疲れると機嫌が悪くなるように、子犬も疲労が限界に達すると自分で感情をコントロールできなくなり、興奮して甘噛みが増えることがあります。特に夕方やたくさん遊んだ後に噛む行動が目立つ場合は、休憩が必要なサインかもしれません。
3. 「かわいい」で済ませないで。甘噛みを放置する3つの深刻なリスク

「子犬だから仕方ない」「痛くないから大丈夫」と甘噛みを軽視していると、将来的に深刻な問題へと発展する可能性があります。早期にしつけを行うことの重要性を理解するために、具体的なリスクを見ていきましょう。
3.1.本気噛みへのエスカレート
甘噛みを許していると、子犬は「噛んでも良いんだ」と学習します。さらに、要求がある時に噛んで注目を得た経験から、「もっと強く噛めば、もっとかまってもらえる」と誤って学習し、要求を通すための手段として噛む力がエスカレートしていく危険性があります。
3.2.家具や所有物への被害
犬の顎の力は、私たちが想像する以上に強力です。甘噛みを放置すれば、人の手だけでなく家具やスリッパ、電気コードなども噛む対象になります。高価な家具がボロボロになるだけでなく、電気コードを噛んで感電したり、物を誤飲したりと、犬自身の命に関わる危険もあります。
3.3.他者への危害と社会的トラブル
噛み癖が治らないまま成犬になると、散歩中やドッグランで他の人や犬を傷つけてしまう可能性があります。また、動物病院での診察やトリミングサロンでスタッフを噛んでしまうと、今後の利用を断られるなど、社会的なトラブルに発展するケースも少なくありません。
これらのリスクを回避するためには、具体的で効果的なしつけを、今日から実践することが不可欠です。
4. 今日から実践!甘噛みを直すための効果的なしつけ方法

甘噛みのしつけは、犬に恐怖を与えてやめさせるものではありません。大切なのは、「人を噛むのはいけないこと」「噛んで良いのはおもちゃだけ」というルールを、根気強く、愛情を込めて教えることです。「叱るより教える」という基本姿勢を忘れず、以下の方法を試してみてください。
4.1.【基本の3ステップ】噛まれた瞬間の正しい対応フロー
甘噛みへの対応は、毎回同じ手順を繰り返すことが成功の鍵です。以下の「止まる→おもちゃ→中断」という流れを家族全員で徹底しましょう。
ステップ1:静かに止まる(遊びがストップする合図)
手を噛まれた瞬間に、すべての動きと声を止めます。 そして「痛い」や「ダメ」といった短い言葉を、低く落ち着いた声で伝えます。
ここで絶対にやってはいけないのが、甲高い声で「キャー!」と叫ぶことです。甲高い悲鳴は、犬にとっておもちゃの鳴き声や獲物の鳴き声に似ており、狩猟本能を刺激して「飼い主が喜んで遊んでくれている」と勘違いさせ、さらに興奮させてしまいます。
また、噛まれた手を慌てて引っ込めるのもNGです。動くものを追いかける習性を刺激するため、手をグーの形に握り込んで動きを止め、噛む対象としての魅力をなくしましょう。
ステップ2:おもちゃへ誘導する(正しい噛む対象を教える)
動きを止めたら、すぐにロープやゴム製のおもちゃなど、噛んでも良い代替品を犬の口元に差し出し、興味をそちらへ誘導します。 これを「リダイレクション(方向転換)」と呼びます。
「人の手はダメ、でもこれなら噛んでいいよ」という明確なメッセージを伝えることが重要です。おもちゃを上手に噛み始めたら、「上手だね!」「いい子!」とたくさん褒めてあげましょう。これにより、犬は「おもちゃで遊ぶと褒められる」と学習します。
ステップ3:静かに中断する(しつこい場合はクールダウン)
おもちゃに誘導しても興奮が収まらず、しつこく手を噛もうとする場合は、遊び自体を一旦終了させます。 怒るのではなく、無言でスッと立ち上がり、その場から数十秒〜1分ほど離れましょう。 別の部屋に移動するのも効果的です。
これを繰り返すことで、犬は「人をしつこく噛むと、楽しい時間が完全に終わってしまう」というルールを学びます。
4.2.【予防と環境づくり】噛む欲求を満たし、トラブルを未然に防ぐ
上記の対応と並行して、甘噛みをさせないための環境作りと、欲求を満たす工夫も行いましょう。
環境整備
スリッパや靴下、電気コードなど、噛まれては困るもの、危険なものは、そもそも犬の届かない場所に片付けましょう。物理的に噛めない環境を徹底することが、最も確実な予防策です。
エネルギーの発散
毎日の散歩や遊びの時間を十分に確保し、愛犬のエネルギーを発散させてあげましょう。心身ともに満たされることで、ストレスや退屈からくる甘噛みを大幅に減らすことができます。特に夕方に噛むことが多い子は、疲れや眠気が原因の可能性もあるため、静かに休ませる時間を作ることも大切です。
「ちょうだい」を教える
日頃からおもちゃを使って「ちょうだい」の練習をしておくと、万が一噛んでほしくない物を口にした時に、スムーズに取り返すことができます。おやつを使って、口から物を離したら褒めるという練習を遊びの中で取り入れ、対立せずに物を渡すことを教えましょう。
正しい方法を実践することと同じくらい、やってはいけないNG対応を避けることもまた、しつけの成功には不可欠です。
5. これでは逆効果!甘噛みを悪化させるNG対応ワースト5

ここでは、愛犬を想うがゆえに、良かれと思ってついやってしまいがちな、しかし逆効果となる対応を解説します。飼い主さんが陥りがちな間違いを理解し、絶対に避けるようにしましょう。
NG対応@:大声で騒ぐ・叫ぶ
【理由】 噛まれた時に甲高い声で「キャー!」と騒ぐと、犬は「飼い主さんが喜んで反応してくれた!」「もっと遊ぼう!」と勘違いし、さらに興奮してしまいます。遊びの一環だと誤解させ、行動をエスカレートさせるだけです。
NG対応A:体罰を与える・マズルを掴む
【理由】 叩いたり、首を押さえつけたり、マズル(鼻先)を強く掴んだりする行為は、絶対にやめてください。犬に恐怖心と不信感を植え付けるだけでなく、飼い主の手そのものを「怖いもの」と認識させてしまいます。その結果、手を近づけただけで防衛的に噛みつく「本気噛み」を誘発する、最も危険な対応です。
NG対応B:手を使って遊ぶ・からかう
【理由】 犬の目の前で手をひらひらさせて遊んだり、手でじゃれついたりすると、犬は「人の手=噛んでも良いおもちゃ」と学習してしまいます。人の手は撫でたり、おやつをあげたりするためのものであり、遊び道具ではないことを一貫して教える必要があります。
NG対応C:噛まれた手を素早く引っ込める
【理由】 噛まれた手をサッと引く動きは、犬の「動くものを追いかける」という狩猟本能を強く刺激します。犬にとっては「獲物が逃げた!」というサインになり、遊びをさらに盛り上げてしまう逆効果な反応です。
NG行動D:一貫性のない対応
【理由】 家族の間で対応がバラバラだったり、飼い主がその日の気分で叱ったり許したりすると、犬は何が正しくて何が悪いのかを学習できず、混乱してしまいます。家族全員でルールを統一し、どんな時でも同じ対応を貫く「一貫性」が、しつけの成功に最も重要です。
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6. まとめ:焦らず根気強く。正しいしつけで愛犬との絆を深めよう
子犬の甘噛みは、成長過程におけるごく自然な行動です。しかし、それを放置すれば将来の深刻な問題行動につながる可能性があるため、子犬期からの適切なしつけが不可欠であることをご理解いただけたかと思います。
甘噛みのしつけで最も大切なのは、「一貫性」と「愛情のこもった根気強さ」です。焦る必要はありません。愛犬の気持ちを理解しようと努め、「人を噛むと楽しいことが終わる」「おもちゃを噛むと褒められる」というルールを、日々の生活の中で繰り返し教えていきましょう。
正しいしつけは、単に問題行動をなくすための作業ではありません。それは、愛犬との信頼関係をより深く築くための、最高のコミュニケーションです。このプロセスを通じて、あなたの愛犬は安心して暮らせる社会のルールを学び、あなたとの絆はより一層強固なものになるでしょう。
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